04.雪花-3
バケツから跳ねた水飛沫。それはつららのように凍り、鋭利な先端をクルベスに向けた。 一切のブレも無く飛んだソレをクルベスは咄嗟の判断で避けて事なきを得る。 いや、少し頬を掠ったらしい。茫然と見つめる視界の中でクルベスの頬にうっすらと一本線が…
chapter.4
03.雪花-2
助手席に座り、ソワソワと指先をいじるレイジ。別に何となく暇だからこうやっているだけであって、決して緊張しているからではない。断じて違う。「初めてだな。二人だけで車で出掛けるの」 こいつはわざと言ってるのだろうか?憎たらしくなって隣りの運転…
chapter.4
02.雪花-1
それは今から十四年前。レイジ・ステイ・カリアが九歳の時のこと。自分が抱えていた悩み――水を凍らせるようになってしまったということを伯父のクルベスに打ち明けた日。 クルベスと共に帰宅してすぐ、レイジは両親に今回の騒動――魔法の発現について話…
chapter.4
01.諸々の懸念と大人たち
「簡単に話を聞くだけだから。そんなに硬くならなくて大丈夫だよ」 王宮の医務室にてエディはティジにそう声をかける。今回の一件――ニィス・ヴェントによる一連の件についての事情聴取のために訪れたのだ。 そんな二人を横目にエスタは『そういえば俺も弟…
chapter.4