21.淡彩色の記録-7
今朝方、ルイはティジの希望通り、学校へと登校した。なおその際エスタには「弟くん、ティジ君のことは俺がしっかり見ておくから安心して……!クルベスさん、弟くんを頼みます!なにとぞ、どうか……弟くんの事、よろしくお願いします……!」とまるで今生…
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20.淡彩色の記録-6
ルイが学校に復帰する事が決定した。昨晩の話し合いで今後の流れも決まったらしく、話はトントン拍子で進んでいき、翌日にはルイはまた学校に舞い戻ることとなった。「さて、二人を見送ったことだし。ティジ君、これからどうする?何がしたい?」 登校する…
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19.淡彩色の記録-5
「――……っ」 微睡んだ意識を覚醒させる。目を開けて最初に飛び込んで来た景色は白。どこまでも、どこまでも真っ白な世界。ここはどこだろう。 半身を起こし、周囲を見渡しながら過去の記憶をさかのぼる。最後に覚えているのは……エスタさんに「おやすみ…
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18.淡彩色の記録-4
「学校の件な、すまないがお前は学校に行ってくれ」 クルベスは彼の私室にルイを押し込むと開口一番に言い放った。ルイはここに辿り着くまでの間『どのように話せば自分の意見を分かってもらえるか』と悶々と考えていたのだが、自分の意見を話す前に言い切ら…
chapter.5
17.淡彩色の記録-3
ルイの学校の件について、日中はクルベスさんも忙しそうにしていたためもう少し落ち着いてから聞いて見ることになった。 落ち着いてからっていつ頃だろう?そういえば記憶を失くす前の俺はクルベスさんとどれぐらい親しかったのかな。 実際のところ、あの…
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16.淡彩色の記録-2
結局、自分が記憶喪失だと知ったその日の夜はそのまま医務室で眠ることとなった。クルベスさんから「こんな状態で一人にさせるのは心配だから」と言われたからだ。 それに加えて「しばらくの間は一人で行動せずに必ず誰かと一緒にいるように」と言いつけら…
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15.淡彩色の記録-1
目を覚ましたら知らない場所だった。でも知らない場所に連れて来られたのではなく、自分が記憶喪失になっているのだと知ったのはそれからすぐの事。それを教えてくれた眼鏡を掛けた男性は自分にいくつか質問をすると慌ただしく部屋から出ていってしまった。…
chapter.5
14.境目-9
ルイはベッドに横たわるティジを見つめる。雷が鳴る日のように呻くこともなく、まるで死んでいるかのように眠るその人。毛布が微かに上下していることから呼吸をしているのは確かだが、それ以外の反応が見られないことにひどく心がざわめいた。 ティジはい…
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13.境目-8
「まぁ大体何があったかは分かった。それにしても……まさかそっちも同じ物を持ってたとは」 クルベスから連絡を受け、城に駆けつけたエディ。クルベスの私室で落ち合った彼はクルベスから事の経緯を聞くとため息まじりに呟いた。その口振りから察するに、リ…
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12.境目-7
昼下がり。学園内のとある一角――もうすっかり馴染みの場所となった休憩スペース。そのベンチに座っているルイはボーッと手元を見つめていた。視線の先には城の料理長から貰った本日の昼食。 昼休みが始まってからもう三十分ほど経過している。だが食欲が…
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11.境目-6
そこは自分以外誰もいない空間。 どこまでも続く広いその真っ白な空間には、至るところに箱やボロ切れのような袋が打ち捨てられていて。箱はひび割れ、袋は縫い目から引き裂かれており、その中から『黒い泥のような物』があふれ出していた。 …
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10.境目-5
「俺はティジの様子を見に戻ろうかと思ってる。ルイ、お前はどうする?」 話が終わった後もしばし放心していたルイの耳にクルベスの声が入る。その声にルイはうまく働かない頭を無理やり起こした。「あ……俺は……おれ……は……」 一緒に行く、という言葉…
chapter.5